週一回2時間よりも毎日15分

週一回2時間よりも毎日15分

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英語学習を行う上で「どのくらいの時間どの程度の頻度でやったほうがいいか?」という疑問を持たれる方も多いでしょう。
先に結論だけ言うと、「毎日できるだけ」です。英語を流暢に使いこなせるレベルを目指すのであれば。
そしてこれは特に英語学習を始めたばかりの、基礎がきちんとできていない人であればなおさらです。
これは脳の変化の仕方という観点から見ても理に適っているのです。


結局どのくらいやればいいの?

できるだけ少ない労力で最大の結果を得たいと思うの人も多いのではないでしょうか?
少なくとも私はそう思います。だって短い人生、色々やりたいので(^^)
そこで英語を流暢に使いこなせるレベルを目指す上で「どのくらいの時間、どの程度の頻度で勉強したほうがいいのか?」ということについて今回は触れます。
まず、アウトなパターンから先に触れます。

週一回2時間

Noooooooooo!
意味がないとは言いませんが、効率悪すぎます。
しかし、これにも満たないケースを世の中で沢山見かけます。
週一回1時間英会話学校に通うだけで他なにもしない、とか。
むむむ。。。
やらないよりはマシです。目的次第ではこれでもOKだと言えます。
しかし、それだけで英語を流暢に使いこなせるレベルに達するのは厳しいと思います。
じゃあ、どのくらいやったほうが良いのでしょうか?

毎日、できるだけ

結論を言います。
「毎日、できるだけ」です。
これはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキング、何であろうとです。
だからタイトルの通りなのです。
週一回2時間よりは毎日15分の方が効果が期待できます。
もちろん、一日15分に限定する必要なんて一切ありません。
一日4時間やってもいいし。その日によって多少は強弱をつけてもいいと思いますし、たまには休んでもいいと思います。でも可能な限り毎日できるだけが良いと思います。

少しその根拠に触れたいと思います。

脳科学の観点から見ても、やはりできるだけ毎日

一つ興味深い脳科学の実験をご紹介します。
ちょいと言葉多いですけどぜひ読んでみてください。

1990年代初頭にPascual-Leone(現在はProfessor of Neurology at Harvard Medical School)が行った実験によって、脳には短期的で不安定な変化と長期的で安定的な変化があることが分かってきました。
こういうことです。
点字読みを習得させるためにPascual-Leoneが人を集めました。実験期間は1年間。
最初の10か月間、週の平日五日間は一日2時間クラス内+1時間宿題として点字読みを習得してもらいました。週末は休み。
その期間中、脳の中で指の感覚をつかさどる領域の変化を週二回、月曜日と金曜日に、特別な装置を使って計測しました。
そして、最後の2か月は一切の点字読みをしない期間とし、その後に再度脳の中で指の感覚をつかさどる領域を計測しました、と。
その結果、驚くべきことが分かったのです。

最初の6か月間

・最初の一週間
平日一週間点字読みの訓練をした結果、金曜日に点字読みをするために使った指の感覚をつかさどる領域を計測したところ、月曜日より大きくなっていました。
ところが週末点字読みを一切しないで、再度月曜日の訓練開始前に点字読みの感覚をつかさどる領域を計測したところ、始める前と同じ大きさに戻っていました。

・次の一週間
平日一週間点字読みの訓練をした結果、金曜日に点字読みをするために使った指の感覚をつかさどる領域を計測したところ、前の週の金曜日より大きくなっていました。
ところが週末点字読みを一切しないで、再度月曜日の訓練開始前に点字読みの指の感覚をつかさどる領域を計測したところ、始める前と同じ大きさに戻っていました。

このようなサイクルが最初の6か月間繰り返されたのです。
そして6か月が過ぎました。

次の4か月間

ここからようやく月曜日の訓練前の状態の点字読みの指の感覚をつかさどる領域も広がりを見せ始めます。
一方、金曜日の広がり幅がだんだん小さくなっていきます。
そのまま10か月続けました。

最後の2か月間

最後の2か月間は点字読みを一切しない期間として全ての人に休んでもらいました。
休み後に再度点字読みの指の感覚をつかさどる領域を計測したところ、2か月前の最後の月曜日に計測した時と同じサイズだったそうです。

やはりできるだけ毎日

最後、繰り返しになりますが、やはりできるだけ毎日英語はやったほうが良いということです。
脳の実験でも分かるように、特に基礎がまだできていない時期にやったりやらなかったりだと、せっかく脳が英語のリスニングに慣れてきたと思っても、また元に戻る可能性がある、ということが分かります。
実際は週一回でも完全に無駄と言うわけではないのですが、本当に効果が見えてくるまで何年も何年もかかる可能性があるということです。
それよりは、集中的に1年とか2年とかきちんと決めて徹底的にやったほうが、その後、しばらくやらない期間があったとしても、全て忘れる、聞き取り能力が完全に無くなる、というところまではいかない可能性が高いということです。

もちろんどこまでやるかは本人の目標・目的次第だと思います。
本当に流暢に英語を使いこなせるレベルを目指すのであれば、毎日やったほうが良い、ということです。

peace

脳科学の話に触れた際の参考文献:
英語版
Doige Norman, The Brain That Changes Itself. (New York: Penguin Books, 2007)

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